2021年度入試から導入された「大学入学共通テスト」をはじめ、近年、大学入試が大きく変わりました。
何がどう変わったのか、大学入試の最新情報をつかんでおきましょう。
2020年度から始まった大学入試改革の一環で、2021年1月からセンター試験に変わって大学入学共通テスト(以降、共通テスト)がスタートしました。また入試の名称が変わり、従来のAO入試は総合型選抜、推薦入試は学校推薦型選抜、一般入試は一般選抜になりました。
名称が変わるだけではなく、試験の内容もスケジュールも見直されました。総合型選抜と学校選抜型では、小論文や口頭試問、教科・科目のテストなど、学力測定が必須になりました。さらに、総合型選抜の出願受付が8月(AO入試)から9月になり、これまでは定められていなかった合格発表日が「11月以降」になりました。学校推薦型選抜の出願受付は従来の推薦入試と同様に11月のままですが、これまで定められていなかった合格発表日が「12月以降」になりました。
これまでのAO入試や推薦入試では、定員割れに苦しむ一部の私立大学などが、まったく学力測定を実施しなかったり、早ければ8~9月に合格発表を行っていたことが問題視されていました。
目まぐるしく変化する現代社会では、今までの考え方や方法では対応できなくなっています。ITの急速な発達に伴って社会や仕事のあり方が変わり、かつては存在しなかった職業もたくさん登場しました。また急速なグローバル化の波、少子高齢社会の到来が押し寄せています。このような先行き不透明な時代では、「自ら問題を発見し、他者と協力して解決していくための資質や能力を育み教育が必要である」という考え方がベースにあります。
新しい入試区分では「学力の三要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度等)」がより重視され、どの入試区分でもバランス良く評価する入試に変わります。
大学入学者選抜改革により、2021年1月から「大学入学共通テスト」が始まりました。共通テストはこれまでのセンター試験と同様、1月中旬の2日間に実施されます。なお、改革の目玉であった「数学と英語での記述式問題の導入」と「英語の民間資格・検定試験の併用」がともに見送られ、これまでのセンター試験とほとんど変わらない形で実施することになりましたが、センター試験よりも思考力や判断力を測るための問題が増えています。
出題科目に関しては、以前の学習指導要領で学んでいる生徒が受験する2023年度(2024年度入試)まではセンター試験と同様の6教科30科目、新しい学習指導要領で学ぶ生徒が受験する2024年度(2025年度入試)以降は教科・科目が再編されています。
共通テストは、センター試験の30年間で蓄積された良問を受け継ぎながら、「知識の理解の質を問う問題」「思考力・判断力・表現力を要する問題」が出題されます。たとえば、授業において生徒が学習する場面や、日常生活の中から課題を発見し解決方法を構想する場面、複数の資料やデータ等をもとに考察する場面など、「どのように学ぶか」を踏まえた問題の場面設定が重視されます。
また、これまでに身につけた知識の理解や思考力を発揮できるかを測るために、「教科書で扱われていない初見の資料等」が出題されることもあります。
共通テストの出題科目は、国語・地理歴史・公民・数学・理科・外国語・情報の7教科21科目です。受験生は、志望大学が指定する教科・科目を選択して受験することになります。
それぞれの試験時間帯で受験できる科目は、地理歴史・公民と理科は最大2科目、そのほかの教科は1科目(数学は数学①と数学②でそれぞれ1科目)となっています。