クロイワブログ

■ クロイワ正一 プロフィール
クロイワ正一
一般社団法人AO入試振興協会・理事長。大学生・社会人へのコミュニケーション 教育に携わり、高校・予備校でもAO推薦入試講座を担当。
一橋大学・同大学院卒。
■ 『面接試験での模範的答え方』(ライオン社)

面接試験に関する参考書を紹介します。
昨今さまざまな類書が出ていますが
ほとんどの参考書の著者が
以下の私の本を参考にしてくださっています。
予備校や塾の教材としても使われていますので
ブログだけでわかりにくいことは
こちらを参照してください。

『面接試験での模範的答え方』(ライオン社)

%E9%9D%A2%E6%8E%A5%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%81%A7%E3%81%AE%E6%A8%A1%E7%AF%84%E7%9A%84%E7%AD%94%E3%81%88%E6%96%B9.jpg

日時: 2010年08月01日 14:59 コメント (0)
■ 『志望理由書の模範的書き方』(ライオン社)

志望理由書に関する参考書を紹介します。
昨今さまざまな類書が出ていますが
ほとんどの参考書の著者が
以下の私の本を参考にしてくださっています。
予備校や塾の教材としても使われていますので
ブログだけでわかりにくいことは
こちらを参照してください。

『志望理由書の模範的書き方』(ライオン社)

%E5%BF%97%E6%9C%9B%E7%90%86%E7%94%B1%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%A8%A1%E7%AF%84%E7%9A%84%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%96%B9.jpg

日時: 2010年08月01日 14:55 コメント (1)
■ 今月21日は仙台サンプラザホールに集合!!!

いよいよ8月です。
AO・推薦入試も
ハイシーズンを迎えました。

5月の新潟から始まり
名古屋、広島、大阪、福岡と南下し
静岡、東京と北上してきた
大学フェア2010も

いよいよ今月の21日
仙台サンプラザホールでの開催をもって
フィナーレを迎えます。

各会場での
講演会や相談コーナーに
いらっしゃった
受験生、保護者の方々には
感謝申し上げます。

そこで
東北地区の皆さん!!!
直接、AO・推薦入試について
質問&相談できる
チャンスです。

この形式の入試で
大学進学を考えていらっしゃる
方々は
21日、ぜひ仙台サンプラザホールに
お越しください。

ブログの記事のご参照くださいね。
お待ちしておりまぁ~す。

日時: 2010年08月01日 14:42 コメント (0)
■ 7月20日は日本武道館でお待ちしています

大学フェア2010も8会場のうち
昨日の静岡会場での開催を盛況のうちに終え
6会場でのイベントが終了いたしました。
そして
いよいよ明日は東京・日本武道館です。

AO入試・推薦入試の対策講演会だけでなく
ブースにて個別相談も受けておりますので
気軽にお声をおかけください。

AO・推薦入試突破は
この夏にかかっています!!!
大学フェア2010は
志望大学のアドミッションポリシーを
大学側から直接聴ける絶好のチャンスです。
ぜひ、九段下の日本武道館まで
足を運んでみてください。
お待ちしています。

また、下記の「ヘルメス論文ゼミ」サイトでも
さまざまな情報を流していますので
ご参照ください。

http://www.h-ronbun.com

つぶやき(twitter)はこちら

http://www.twitter.com/kroshow

日時: 2010年07月27日 11:37 コメント (0)
■ 面接への対策

AO・推薦入試が活発になってくると、
面接の回数も増えます。
そこで、生徒一人を見る面接(個別面接)以外にも、
面接の種類は増えました。
まず、以下に示すような面接の種類について、
理解しましょう。

①面接試験の種類
・個別面接(生徒1名  対 面接官数名)
・集合面接(生徒複数名 対 面接官数名、生徒同士の話し合いはない)
・グループディスカッション(生徒複数名の討論を、面接官が観察・評価する)
・プレゼンテーション(生徒1名が面接官複数の前で発表する)

こうした面接試験では、
大きく分けて2つの点が評価の対象になります。
第一に、返答の内容。
「何を応えたか」といったことばの中身です。
第二に、返答の姿勢・態度。
「どう応えたか」といった表情、声などです。
もちろん、「明るく元気な生徒を合格にする」といった
評価基準が確立されているわけではありませんが、
生身の体をさらけ出すのが面接ですから、
返答姿勢・態度は、自然に目と耳に
印象強く入ってきてしまうのです。
それゆえ、双方に気を配りましょう。

②面接で評価されるポイント
・返答内容(理解力、論理性、具体性、一貫性)
・返答態度(表情・姿勢・動作・声のトーンなど)

まず、返答内容のポイントについて考えてみます。
「ことばの中身をどう整えるか」です。
面接での質問に応える順序も、“Main Point First”です。
問われたことに対する答えを初めに述べます。
次に、理由も尋ねられたら理由も添える。
加えて、自分独自の具体的なエピソードを交えたら、
独創性が加わり、印象に残ります。

例えばこんな感じです。

問い「あなたの好きなことばは?」
答え「はい。わたしが好きなことばは、
『石の上にも三年』です(論=質問への答え)」

問い「なぜ、そのことばが好きなの?」
答え「はい。人は、ある程度の期間は辛抱して
知識やスキルを身につける努力をしないと、
ものにはならないと考えているからです(論拠=理由)。
実際、私は高校に入ってからバドミントンを始めましたが、
毎日毎日欠かさず練習を続けたら、
3年の春には県内でベスト32位になりました。
他の選手のほとんどが中学生以前から
この競技を始めていたので、部の顧問の先生も
『立派な成績だ』と誉めてくださいました」

③返答する順序
・質問への答え ⇒ 理由 ⇒ 具体例

次に、返答姿勢・態度について、考えてみましょう。
顔の表情、立ち居振る舞い、発声など、以下の点に注意します。

④明るく清々しい表情
・「目を大きめに開き」&「口元(口角)をキュッと引き締める」

⑤堂々とした姿勢
・「せ・め・て・あし・ふく・くせ(背・目・手・足・服・癖)」の
キャッチフレーズで注意。
-背筋はピンと張る
-目(視線)は面接官の方を向く(面接官のおデコを見てもいい)
-手は
立っているときは太ももの横にぴたりとつけ」
座っているときはももの上に置く(グーor重ねてパー)」
-足はそろえて(座っているときはひざをつけ、経っているときはかかとをつける)
-服(服装)は、乱れの内容にチェック(ボタンのかけ忘れ、ポケットなど)
-癖がある人は、意識して「癖を出すまい」を努力する(口癖も)

⑥メリハリのある動作
・「静かな止め」と「俊敏な動き」
-座っているとき、立っているときなどはフラフラせず「静」を保つ
-移動するときは、機敏にスピーディーに「動」的に

⑦大きく、緩急、高低のある発声
・大きな声で語尾までハッキリ
・重要なことは「ゆっくり・遅く」などを工夫する

最近増えてきた集団面接(複数の生徒を一時に面接)のポイントは、
第一に、隣の人への気づかいです。
もう一人の生徒が話そうとしているのに割り込んだり、
制止したりしていては、協調性を疑われます。
その際には、「どうぞ」と譲ったりすれば、
協調性やこころの広さをアピールできます。
第二に、「偶然の一致」があったときのこころの準備も必要です。
もしかしたら、
先に自分が言いたいことを言われてしまうかもしれません。
そんなときは、逆に堂々と「偶然ですね」などと
反応するとよいでしょう。

⑧集合面接のポイント
・同席した受験生にも配慮する(「私から答えていいですか」、
「お先にどうぞ」など)
・同じ答えでも堂々と「偶然ですね!私も同じです」と答える

グループディスカッションでは、
まず積極的に参加する姿勢が重要です。
面接官は、受験生たちの議論を観察しながら、
手元の評価表にチェックを入れています。
例えば
「積極性で○○点、協調性で○○点、理解力で○○点、知的好奇心で○○点」
などなど。
こうした基準を満たすためには、
まず投げかけられたテーマに対して発言しなければ、
点数にはならないのです。黙っていれば、「〇点」です。
ただし、その場でうまい意見が思い浮かばない可能性もあります。
そうしたときの対応の仕方も訓練しておく必要があります。
一つには、前の人が言った内容を「要約」することです。
「クロイワさんの意見は……ことですね。
 田中さんの意見は……ことですね」
などとまとめるのです。
もう一つには、「整理」をしてもいいでしょう。
「クロイワさんと田中さんは……点で一致していますね。
 一方、山田さんと佐藤さんは……点で一致していますね。
 他にありませんか」などと振り分けるのです。
このような整理は、人の話への理解力と論理的思考力を評価されます。
さらに、要約も整理もできないときはどうしましょうか。
人生には、そうしたピンチもつきものです。
そんなときは、ズルい手ですが、
「ただ反応する」という方法もあります。
具体的には、話者のことばを繰り返したり、誉めたりすることです。
心理学では、こうしたテクニックも会話で重要な要素と認められています。
「なるほど、クロイワさんは……と考えているのですね(繰り返し=反射)。
 素晴らしい指摘ですね(誉め=承認)」などと、場を盛り上げるのです。
こうした反応でも、討議は進みますので、発言者は協調性を評価されます。
このように、自分から話題づくりをしなくても、
こうしたディスカッションへの参加はできます。
因みに、こうしたテクニックをビジネスの世界では、
ファシリテーションスキルと呼んでいます。

⑨グループディスカッションのポイント
・基本は、積極的発言……まずは「口火を切る」くらいの意気込みで
・要約や整理も重要……「ものわかり(理解力)」や「仕切り」能力をアピール
・奥の手として、反射(繰り返し)、承認、意見喚起(振り)……「盛り上げ役」で協調性を示す

こうしたことを前提として、後はトレーニングを重ねればよいのです。
それには、後述する頻出の質問に対して、
まず答えのシナリオをつくること(シナリオづくり)、
そのシナリオを答えている自分を想像すること(イメージトレーニング)、
実際に一人芝居で演じてみること(シャドートレーニング)
などを繰り返しましょう。
そうして練習を積んだら、保護者、学校の先生などに面接官役を演じてもらい、
模擬面接(リハーサル)を行うと効果的です。
その際には、
面接官役をお願いする人に評価表を渡してチェックしてもらうと、
「自分のどこがいけないか」が具体的につかめます。
そして、その点を中心に練習していけば面接力は確実にアップします。
以下、トレーニング過程とシナリオをつくるべき頻出質問、
また評価表を整理しておきます。

⑩練習手順
・シナリオづくり……頻出質問に対する回答例をつくる
・イメージトレーニング……頭の中で「面接を受けたつもり」をイメージする
・シャドートレーニング……体の動きも伴って「一人芝居」をしてみる
・リハーサル(模擬面接)……面接官役をお願いし、実際の回答感覚を養う

⑪頻出質問
「なぜこの大学を志望したのですか」
「なぜこの学部・学科を志望したのですか」
「他大学と併願していますか。全部合格したらどうしますか」
「入学後どのような学生生活を送りたいですか」
「大学や同窓生に対してどんな貢献ができますか」
「卒業後はどんな方面に進みたいですか」
「将来の夢を実現するためにどんな努力をしてきましたか」
「あなたの得意科目と苦手科目は何ですか」
「学業以外であなたの特技、得意なことは何ですか」
「あなたの性格を一言で表現するとどう言えますか」
「あなたの長所と短所はどこですか」
 などなど

⑫模擬面接評価表

・返答内容について
理解力
(質問の内容を理解して返答できていますか: よい  ふつう   わるい )
論理性
(発言に対する根拠を示していますか:    よい  ふつう   わるい )
具体性
(話の内容は具体的でわかりやすいですか:  よい  ふつう   わるい )
一貫性
(全体の話が矛盾せず一貫していますか:   よい  ふつう   わるい )

・返答姿勢について
服装
(清潔感ある服装をしていますか: よい   ふつう   わるい )
姿勢
(背筋はピンと伸びていますか:  よい   ふつう   わるい )
表情
(明るく好感の持てる表情ですか: よい   ふつう   わるい )

(動きは機敏でモタモタしていませんか: よい   ふつう   わるい )

(座っているとき落ち着いて見えますか: よい   ふつう   わるい )
大きさ
(声はしっかり出ていますか: よい   ふつう   わるい )
明瞭さ
(はっきりと話していますか: よい   ふつう   わるい )
緩急抑揚
(メリハリがありますか:  よい   ふつう   わるい )
注意
(面接官の顔を見て発言していますか:  よい  ふつう   わるい )
熱意
(全体に入学への意欲が感じられますか: よい  ふつう   わるい )

日時: 2010年07月26日 14:59 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑪

《演習問題11・食糧問題》
 食料輸入について、あなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 日本は、食糧の多くを輸入に頼っています。それを、「安定性や安全性がない」、「国内の農業が衰える」などと問題視する意見もあります。
 しかし、他方では「海外との交流(貿易、食文化交流)が活発になる」、「安い食材が入る」、「国内の農業にも刺激を与える」といった食糧輸入のメリットを指摘する声もあります。遺伝子組み換え食品、狂牛病、鳥インフルエンザ、スローフード(ゆとりを持ってゆっくりつくり、食べる食事)など、食に関する話題は尽きません。

《キーワード》
・問題点および解決策
(1)有事のときに、食料調達が困難となる。
→国際的な平和関係を築く。危機管理として、多様な国からの輸入経路を確保する。
(2)安全性の問題(ポストハーベストなどの農薬問題、病原菌、寄生虫など)。
→原理での生産管理、輸入時の品質チェックによる安全性管理。
(3)日本国内の農水産業の弱体化。
→国際競争力をつけるための試練と受けとめ、積極的なイノベーションに取り組む。
(例)商品の差別化(高級ブランド化、安全性の強調など)、生産技術の向上によるコスト管理など。
・利点
(1)貿易摩擦解消
(例)対米国貿易で、自動車、家電などを輸出する代わりに、穀物、肉類などを輸入することで、調整をとる。
(2)輸入による低価格化、食材の多様化で、国民の食生活が豊かになる。
(例)昔、牛肉は高級品だったが、今は米国産、豪州産牛肉の輸入により、日本人のタンパク源が安定供給されるようになった。
(3)多様な国との関係が結べる(国際協調)
(例)北欧、アフリカ、南米など政治的、文化的に接点の少ない国と、食料輸入によって関係が結べ、かつ現地の生産管理などに携わることで、経済的、技術的な支援ができる。

《解答例》
 食料の輸入依存傾向を危惧する人々もいるらしい。はたして危惧すべきことなのだろうか(論点)。私はとくに、危惧すべきことではないと考える。むしろ、食料輸入によるメリットを強調したい(論、以上序論)。
 第一の理由は、食料輸入によって安価でバラエティに富んだ食材が手に入るようになるからである(論拠1)。実際、私は、母と一緒によく買い物に出かけるが、そうした恩恵を目の当たりにしている。例えば、輸入のおかげで、牛肉などが手に入りやすくなっているし、パッションフルーツ、スウィティなど日本にいながら、世界中のフルーツを口にすることができる(具体例)。また、第二の理由は、工業製品を海外に輸出する日本にとって、食料輸入は貿易不均衡を是正する国際貢献にもなるからだ(論拠2)。例えば、南米やアフリカから海産物を輸入することによって、現地の人々にとっては外貨を獲得する機会を与えられる。そして、それによって工業化を進めることもできるのだ(具体例)。なるほど、輸入には、BSE、鳥インフルエンザ、残留農薬など、食の安全性を脅かす問題もある。しかし、それは安全性を確保する技術指導によって防げる問題だ。現に、中国では、日本の技術者が農薬を使用しない米の栽培を紹介することにより、農薬使用に対する規制の意識が高まっている(以上本論)。
 以上の考察から、食料輸入は危惧すべき問題ではない(論の確認)。むしろ、食料輸入を一つのきっかけとして国際親善、国際協調の道を模索できる(方向性、以上結論)。

《解答のポイント》
 食料輸入にも、メリットとデメリットがあります。それらについて、双方とも理解しておくとよいでしょう。今回の解答も、デメリットの大きさに注目すれば「過度の食料輸入は危惧すべきだ」といった論になります。
・食料輸入のメリット
 貿易摩擦解消、低価格化、食材の多様化、国際協調など
・食料輸入のデメリット
 安全性の問題、国内の農水産業の弱体化など

日時: 2010年07月25日 14:58 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑩

《演習問題10・医療問題》
 もし、自分が不治の病になったら、医師にどのような対応をしてほしいですか。理由とともにあなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 医療技術の発達により、昔なら助からなかった病気から回復する人も増えています。しかし、個人のこだわりによって、救命や延命を拒否する人もいます。また、薬に頼らず、自己の抵抗力(免疫力)で回復する有効性も専門家によって指摘されています。さらに、臓器移植、生殖医療、クローン技術、ヒトゲノム解析など、新しい医療技術に抵抗を示す声も各所で上がっています。今、医学のあり方が問われているのです。
 なお、医学のあり方を問う倫理(善悪を決める基準)を「生命倫理」と呼びます。医療を受ける患者の「自己決定」を尊重し、「知らされたうえでの同意(インフォームド・コンセントinformed consent)」を徹底するという医療姿勢は、生命倫理に基づくものです。そして、命の量(長さ)を伸ばすことではなく、「命の質(QOL、Quality Of Life)」の向上を目指すということが、新しい医学の目的となったのです。

《キーワード》
・免疫力
 病原体を人間自身で撃退する力(白血球など)
・脳死
 大脳から延髄まで、全脳が壊死しているが、心臓は生命維持装置で動かされている状態、臓器移植において、とくに心臓の提供者(ドナー)として、脳死者が注目を浴びる
・生殖医療
 不妊治療、人工授精、借り腹など、生命の誕生をコントロールする医学
・クローン技術
 生物の体細胞から同じ遺伝子(DNA)を持ったコピーをつくること、哺乳類(羊、猿、牛など)で実験済み
・ヒトゲノム
 人のDNAにある遺伝情報の一覧、人の先天性を調べる手段として注目されているが、後天性(生活環境からの影響)が軽視される可能性があるため、慎重な扱いが求められている

《解答例》
 医学は日々進歩しているが、まだ治せない病気もたくさんある。もし私が、そうした不治の病にかかったとしたら、医師にはどう対応してほしいか(論点)。結論から言って、私は、自分自身の自由意思を尊重した医療を施してほしい(論、以上序論)。
 なぜか。それは、不治の病ならば、死を覚悟しなければならないし、病気がわかったときには、すでに余命も短いかもしれない。それゆえ、残り少ない命でやりたいことを全うしたいからだ(論拠)。私は、祖父の最期を看取った経験から、強くそう思う。祖父は、70代後半ですい臓ガンであることが判明し、医師から入院を勧められたときにはすでに末期だった。しかし、祖父は身辺整理をするため、在宅での治療を強く望み、結果的に、数週間後、家族に見守られながら息を引き取った。思い残すこともなく、満足そうな死に顔だった。もちろん、病院での治療を望む人もいるだろう。そうした人は、本人の意思に沿い、入院生活を続けることが満足につながるだろう。いずれにしても、満たされた気持ちで終末を迎えるには、本人の意思の尊重は不可欠だ(具体例、以上本論)。
 やはり、不治の病ゆえに、本人の意思を尊重した医療行為が望まれる(論の確認)。私の親も、私自身もいずれは死ぬ。今から終末期での本人の意思の尊重を自覚していたい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 医学の進歩は手放しで喜べない部分もあります。そのことについて、以下のように理解しておくと、参考になります。
・医学の進歩とそれによって生じる犠牲
 (延命はできるが、治療行為によって、副作用が出たり、自由を奪われたりする……)
・医療を受ける人の自由
「医師が勧める処方でも患者自身が受け入れたくない場合は、患者本人の自由意志に任せる……」(自己決定権の尊重)
・意思確認の重要性
「患者の意思を尊重するため、診断や治療に関する情報を隠さず示し、本人の合意を得て医療行為を行う」(インフォームド・コンセント)

日時: 2010年07月24日 14:57 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑨

《演習問題9・国家論》
 資本主義が地球中に広がったことにより、海外からさまざまな商品、思想が日本に入ってきます。そこで、「国家はこうした市場経済のグローバル化の波から国民の生活を守る役割がある」とする意見もあちこちで叫ばれるようになりました。あなたは、こうした国家の役割について、どう思いますか。自由に考えをのべなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 20世紀末から日本でも、「構造改革」が進んでいます。構造改革とは、政府主導の活動を、民間に移そうという動きです。具体的には、国営、公営の事業が次々に民営化されたり、お金のかからない政治をしたりすることです。いわば、「大きな政府」から「小さな政府」への脱皮です。
 では、小さい国家権力と大きなそれとは、どちらがよいのでしょうか。答えは一様ではありません。戦後の混乱期は国家主導が妥当だったかもしれませんし、現在は民間主導がよいのかもしれません。

《キーワード》
・民営化
国や地方自治体が運営していた事業を民間の会社に運営させること、古くは、国鉄(現・JR)、電電公社(現・NTT)、
専売公社(現・JT)があり、21世紀になってからは、郵政事業の民営化が進んでいる

《解答例》
市場経済のグローバル化の波から国民生活の安全を守る。こうした役割を、今後も国家が担うべきであろうか(論点)。結論から言えば、妥当ではない。結論から言えば、そのような「内を向いた国家」は、その歴史的役割をすでに終えた。私はそう考える(論、以上序論)
なぜなら、もはやこれほどグローバル化が進んだ状況下で、一国民の安全を保障するような閉鎖的な発想で国家が運営されるのでは、逆に国民生活を危機に曝すからだ。市場経済の波に対して防波堤になるということは、裏を返せば経済的に「保護主義」に逆戻りすることになる。こうした発想は時代錯誤も甚だしい。もちろん、市場経済のグローバル化によって地球的な貧富の格差が生じることは喰い止める必要があるだろう。しかし、それは一国家単位で取り組むべき問題ではないし、とくに途上国では不可能だ。それゆえ、一国家に過大な期待をするよりも、グローバルな視点での協調姿勢こそ、持つべきだ(論拠)。例えば、一時期、中国の農産物をセーフガードによって阻止しようとしたが、それによって困ったのは国民の方だった(具体例、本論)。
こう考えると、やはり国家の役割として、市場経済に口を出すことは望ましくない(論の確認)。むしろ、市場経済のグローバル化を活用して、さまざまな国とのフェアな交流を支援することが重要な役割だ(方向性、結論)。

《解答のポイント》
 国家(政府)の役割を制限するのが「小さな政府」論で、逆に国家に大きな権限を与えるのが「大きな政府」論です。どちらが望ましいか、それは時代背景によっても異なります。
 民間に力がないときは、政府主導で動くことが効率的ですし、逆に、民間が力をつけていると、民間に任せた方が競争原理が働いて効率的です。そのような民間(市場)と国家の力関係を理解しながら国家論を展開することが重要です。

日時: 2010年07月23日 14:56 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑧

《演習問題8・文化論》
 異文化と接する「異文化コミュニケーション」の意義について、あなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 文化とは、その地域の気候や風土に合うように発生してきたものです。それゆえ、各地域にある文化はそれぞれに独自性があり、どの国の文化が優れているというような見方は間違っている。文化に対しては、まずこうした考え方があります。「文化相対主義」と言います。
 また、長い歴史のなかで、他文化と交流し、変化していくのも、文化というものの実態です。それゆえ、「文化の純粋性」へのこだわりは意味がないという考え方もあります。「クレオール文化論」などと言います。
 こうした文化の実態を知っていれば、異文化、異民族への優越性、排他性などには意味がないことがわかります。しかし、実際には、領土問題や貧富の差など、政治・経済的な問題が絡み、異なる文化圏の間での対立、紛争が生じています。

《キーワード》
・文化
 ある集団に共通に存在する「生活や芸術の様式」、「ものの考え方」で、集団の区切り方によって変化する(関東文化、日本文化、東アジア文化、ユーラシア文化など)
・自文化中心主義
 自分の文化が一番進歩しているとする考え方で、自民族中心主義(エスノセントリズム)ともいう
・文化相対主義
 文化の優劣を評価する絶対的な基準などはなく、それぞれに固有の存在価値があるとする考え方
・クレオール文化論
 文化は歴史のなかで、他の文化と交流し、混成(クレオール)になったものだとする考え方

《解答例》
 グローバリゼーションの進展により、海外の文化と接する機会も増えた。異文化コミュニケーションの機会はますます広がっている。では、こうした異文化コミュニケーションの意義とはなにか(論点)。結論から言えば、その意義は、こころを豊かにする点にある(論、以上序論)。
 なぜ、異文化コミュニケーションがこころを豊かにするのか。それは、こころのなかに新しい価値観が育つことにより、ものを考える幅がそれまでよりも広がるからだ。こころが大きくなるのだ(論拠)。例えば、私は中学生から英語を習っていて、不思議に思っていたことがあった。その一つが、「兄弟」や「姉妹」を表す単語が、それぞれ「ブラザー」や「シスター」しかないことだ。「兄」や「妹」と言うためには、わざわざ「エルダー・ブラザー」、「リトル・シスター」などと表現しなくてはならない。そして、高校になってその疑問をイギリス出身の英語の先生に投げかけてみると、「そういえば、兄弟姉妹で歳が上だとか下だとかには、僕はこだわらないね」といった答えが返ってきた。これは大きな発見だった。私のこころのなかに新しい価値観が育った(具体例、以上本論)。
 以上より、異文化コミュニケーションは人のこころを豊かにする(論の確認)。大学に進んだら、たくさんの異文化に接して影響を受け、そして自分からも影響を与えたい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 情報化、グローバリゼーションの進展によって、異文化と接触する機会が増えています。そこで、日常生活でも、私たちは異文化と接するルールを理解しておく必要があります。自らの文化を豊かにするためにも、「排他性」ではなく、「寛容性」をこころがける必要があります。
・異文化接触の前提
「異文化には自文化と同じ価値観と違う価値観がある」
・異文化への対応
「違う価値観は認めたくない」(排他性)
「違う価値観を受け入れ、自らの価値観を広げよう」(寛容性)

日時: 2010年07月22日 14:55 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑦

《演習問題7・豊かさ》
 「物質的には豊かになったが、精神的には貧しくなった」と言われます。こうした意見に対し、あなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 日本は、第二次大戦後の高度経済成長を経て、世界で有数の豊かな国になりました。しかし、そうした成長は安定期、成熟期を迎え、現在、急速に築いた「豊かさ」への反省も生まれています。例えば、「自然環境は貧しくなったのではないか」、「忙しいばかりで、こころは逆に貧しくなったのではないか」と自問する声が目立ってきたのです。
 そうした反省から、「自然に優しい」、「からだに優しい」、「こころに優しい」といった癒しブームも長く続いています。

《キーワード》
・市場経済
 「買いたい(需要)」と「売りたい(供給)」を市場で自由に合わせるため、政府は邪魔をせず、本人たちに任せるという資本主義経済の原理、競争が進んで「安くてよい品ができる」とされる
・計画経済
 政府が生産や富の分配を計画的に行う経済のしくみ、社会主義の原理

《解答例》
 現代は、物質的には豊かになったが、精神的には貧しくなった。私もそう思う。そこで、なぜ、そうなったのか、その理由を探ってみたい(論点)。結論から言えば、物質的な豊かさに安住してしまうと、想像力の働く余地がなくなり、精神的な成長が鈍るためだ(論、以上序論)。
 私は、高校1、2年のころ、人との接しかたを勉強するためもあって、ハンバーガー店でアルバイトをしていた。そこでは、一定の時間を過ぎると、作り置きした商品を捨てていた。食中毒などを起こさないための処理だという説明には納得したが、正直「もったいない」と思った。また、厨房にいたときは自分が作ったものを捨てられる淋しさも感じた。こうした流れが可能なのは、食材の豊かさが保たれているからだ。しかし、その行為は、ハンバーガーという物質の背後に、それを作った人のこころがあることを想起しにくくしてしまう(具体例)。つまり、物質的な豊かさによって、すでにできあがった物、できあがったシステムを消費することに関心を奪われ、想像力が働きにくくなてしまうのだ(論拠、以上本論)。
以上より、物の豊かさが、精神の貧困を生んだ背景には、想像力の鈍化がかかわっている(論の確認)。そもそも、現代が豊かになったのは、創意工夫すなわち想像力が根底にあったからだ。磨くべきは、まさに想像力なのだ。技術や知識の習得に注力するだけでなく、こうした精神性の豊かさも保っていきたい(方向性、以上結論)。

《解答のポイント》
 市場経済における豊かさは、とかく貨幣単位など、数値で示されやすいのですが、それゆえ相対的です。平均的な給料が20万円の時代に50万円もらえば、「豊か」と感じたかもしれませんが、平均が50万円になれば、もう「豊か」とは感じません。
 そこで、もっと「豊か」になろうと、「嫌なこと」、「辛いこと」をしてでもお金を稼ごうとしてしまいます。すると、だんだん「人間らしさ」を失い、寂しくなっていきます。
 これが人間疎外の問題です。人として「疎ましい存在」、「外れた存在」になっていってしまうのです。この構造を理解しておくと、物質的な豊かさの追求に有効な批判ができます。

日時: 2010年07月21日 14:54 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑥

《演習問題6・グローバリゼーション》
 地球規模でさまざまな人々が交流しあう「グローバル化」が進展しています。しかし、グローバル化の親展とともに、国際的な紛争が頻発していることも事実です。では、こうしたグローバル化する国際社会において、「共生」を実現するにはどうすればよいでしょうか。あなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 20世紀末、世界を二分していた資本主義国と社会主義国との「冷戦」構造がなくなり、政治、経済、文化の地球規模での交流はますます進みました。しかし、こうしたグローバルな交流により、問題も生じてきました。南北問題、南南問題など、貧富の格差が露骨になったり、外国の影響を多大に受けるようになった地域で、その反動としてナショナリズム(民族主義)運動が起こったりしてきたのです。そして、他の民族に対する排他性は、難民問題やテロリズムにも発展しました。
 こうした動きに対し、国連やNGO(非政府組織、Non-Governmental Organization)など、国家を超えた機関の調整も必要性が増しています。

《キーワード》
・冷戦の崩壊
 米国と旧ソ連をそれぞれのリーダーとしてにらみ合った冷戦は、社会主義の崩壊とともに終わったが、旧社会主義国でさまざまな紛争が生じた
・南北問題
 先進国(北側)と途上国(南側)の経済格差問題
・南南問題
 途上国間でも経済格差が開いている問題
・グローカリズム
 “Think globally. Act locally. ”を標語とし、地球規模(グローバル)での交流を、国家より小さく動きの速い地方自治体(ローカル)レベルで進めようという発想

《解答例》
グローバリゼーション下で「共生」を実現するには、どうすればよいか(論点)。結論から言えば、経済・政治的な問題を解決すべきだ。すなわち、世界レベルで貧困からの脱出を図り、生活・生存権の安全を確保すべきだ(論、序論)
こうした考えを抱く理由は以下のとおりだ。まず、グローバリゼーションの下で生じている対立は、一見「文化、民族の異質性」から生じているようだが、背景には明らかに領土問題、経済格差があるからだ。東欧の混乱も社会主義経済が破綻した結果起こった問題であるし、中東の対立ももともとは「ユダヤ教対イスラム教」といった宗教的対立ではなく、領土問題、すなわち政治問題である。そもそも、「文化が違う」ことは攻撃の原因にはならない。興味や関心のきっかけになるのだ。太古の文明の交流を見てもわかるとおり、「異文化を好意的に受け入れ、自らのうちの要素としたがる」のも、人間の本性だ(具体例)。それゆえ、対立、紛争に至った根本の原因である経済・政治的問題をまず解決すべきなのだ(論拠、本論)。
 以上の考察より、共生を実現するためには、国家間、民族間に残る政治経済的な問題をまず、解決すべきだ。つまり、「地球レベルでの生活・生存権の安全保障」を実現すべきなのだ(論の確認)。わたしが法学部を志す理由の一つが、まさにこの問題と関わる。国際安全保障を築くための手法として国際法を学びたいのだ(方向性、結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 グローバル化の進展とともに各地で生じている紛争を、単に「文化・民族の対立」と考えてしまうと危険です。人は、かならずしも「文化・民族の違い」を理由にして争ったりしないからです。そこで、そうした対立が起こるメカニズムについて、理解しておきましょう。
・グローバル化
 とくに市場経済のグローバル化により、資源が富裕者に集中する
・反動的なナショナリズム
 外国資本などの影響を強く受け、「格差」が露呈すると「異文化排斥」思想が生まれる
・紛争
 さまざまな大義名分が施され、武力蜂起などが起こる
・対立の複雑化
 自らの活動を正当化するための「文化的、宗教的意味づけ」が行われ、あたかも文化的、宗教的(それゆえ宿命的)対立であるかのように、問題の構造が複雑化する

日時: 2010年07月20日 14:52 コメント (0)
■ 小論文実践演習⑤

《演習問題5・教育問題》
「こころの教育」、「生きる力を育む教育」と同時に、「国際社会で活躍できる優秀な人材の育成」も訴えられています。そこで、これからの学校教育はどうあるべきか、あなたの考えを述べなさい(600字以内)。

《テーマ解説》
 情報化や受験競争の影響で子ども同士がふれあう機会が減りました。その結果、人間関係でつまずく子どもや、過度にメディアから刺激を受けて他者や自己に対して破壊的な行為に走る子どもが目立ちます。新聞紙面、テレビでも、「不登校」、「いじめ」、「学級崩壊」、「引きこもり」、「犯罪の低年齢化」などの問題が頻繁に報じられています。
 また、同時に、「学力低下」の問題もよくメディアで取り上げられます。実際、OECD加盟国で学力調査や学習意欲調査が行われた結果、国際的に比較して、劣っている点があります。とくに、日本の児童、生徒は学習意欲が、他国より低くなっています。
 そうした問題の対策として「ゆとり教育」が実施されましたが、同時に、学力の低下も心配されていますので、再び見直されています。また、「こころの教育」、「生きる力を育む教育」なども提唱されています。

《キーワード》
・ゆとり教育
 21世紀初め、義務教育のカリキュラムが大幅に削られたが、見直される
・学級崩壊
 学級内が無秩序になり、授業が成立しないこと
・生きる力を育む教育
 「こころの教育」とともに、20世紀末に学習指導要領に加えられた考え、「総合的な学習の時間」の導入などを招いた
・21世紀COEプログラム
 世界トップレベルの研究と評価された大学に対して政府が与える支援

《解答例》
 これから学校教育はどうあるべきか(論点)。結論から言えば、個人個人の能力や意欲を引き出す教育へと転換する必要がある(論、以上序論)。
 以下、そう考える理由を述べたい。現在の学校教育は、1クラス数十名での集合教育が中心だ。しかし、情報化や国際化の影響で、子どもたちの価値観も多様化し、1クラスの目的意識がそろうことは難しい。また、塾などの民間教育機関が発達したため、学校よりも早く高度なことを習う生徒もいる。同じクラスでも、理解度がバラバラなのだ。そんな状況では、集合授業は成り立ちにくい。ならば、必要最低限の知識は教えるとしても、義務教育の段階から個々の生徒の得意分野を伸ばす支援をしてはどうか。1日中同じメンバーが同じクラスで集う必要はない。もっと柔軟なクラス編成ができれば、個性が磨け、交流も広がる。学問、スポーツ、芸術、それ以外の道にも、それぞれに国際舞台がある。個性を尊重した教育こそ、国際社会での活躍も促せるのだ(論拠)。実際、私の通う高校は単位制だが、授業を自分で選ぶため、責任感も参加意欲も高まった。そして、得意分野であるから楽しい(具体例、以上本論)。
 このように、成熟期を迎えた日本では、個性を尊重した柔軟な学校教育が求められる(論の確認)。大学では、社会に対する自分の個性の効果的な表現方法について研究したい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 教育は、社会生活を送るために必須の前提です。それゆえ、社会構造が変われば、教育内容も変わる必要があります。以下、経済成長期から低成長、成熟期に変わった時代の教育ニーズの変化についてまとめておきましょう。答案もこのことを前提として書かれています。
・高度経済成長期
「皆で成長を目指そう」(目的意識の一致)
・低成長期、成熟期
「やりがいを求めよう」、「役割を分かち合おう」、「個性を磨こう」(目的の分散、多様化)

日時: 2010年07月17日 16:28 コメント (0)
■ 小論文実践演習④

《演習問題4・ジェンダー論》
「家庭内での夫と妻の役割分担」について、あなたの考えを述べなさい(600字以内)

《テーマ解説》
 日本には、「能力」や「意欲」ではなく、女か男かの「性」によって、家庭や社会での役割、評価が決まってしまう不平等さが残っています。そして、そうした不平等をなくそうという運動も高まっています。
 性差で社会的役割(ジェンダー)を分担することから自由(フリー)になろうというので、ジェンダー・フリー運動とも言います。

《キーワード》
・ジェンダー・フリー
 性差で社会的役割(ジェンダー)を分担することから自由(フリー)になろうという
・夫婦別姓
 結婚して戸籍上にも夫婦で別の姓を登録すること、中国や韓国では常識
・待婚制度
 離婚後に女性が一定期間は再婚できない制度
・婚外子(非嫡出子)
 戸籍上に母しか存在しない子、遺産相続で不利
・M字曲線
 日本や韓国の女性の年齢による就労率変化で、結婚や出産の時期に一時退職するため、M 字のくぼみができるのが特徴

《解答例》
 家庭内で、夫婦はそれぞれどのような役割を演ずるのが望ましいか(論点)。結論から言えば、「夫」と「妻」と言った性別によって役割が割り振られるのではなく、お互いの話し合いによって個々人の意欲や能力に沿った役割を演ずることが望ましい(論、以上序論)。
 以下、その理由を述べたい。まず、日本でも教育における男女格差は縮まり、性とは関係なく社会で活躍する意欲や能力を持てる時代になった。にもかかわらず、「家庭を守るのは女性の仕事」といった価値観が残っているため、女性の場合、社会での活躍と結婚は二者択一の問題になってしまう。これでは、強い挑戦意欲や高い能力を持った女性が社会で活躍する機会を狭められてしまう。その問題を解消するには、家庭内での役割を分担し、調整する必要がある。家事や育児はやりたい人、できる人がやればいいし、お互いがやりたくないのであれば、相談して割り振るしかない(論拠)。実際、共働きの姉夫婦は、このような家事と育児の分担をしてお互いへの理解を深めている。また、職場は違うが、社会人として刺激をし合っていると聞く(具体例、以上本論)。
 やはり、家庭内での役割分担は、性ではなく、当人同士の意欲と能力を踏まえて合意のもとに割り振ることが望ましい(論の確認)。私も両立を目指し、バランス感覚を養いたい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 性によって職業や家庭内役割が決められることのマイナス面について知っておくと、このテーマの出題があったときに応用できます。以下の2点を理解しておきましょう。
・意欲や能力があっても、正当に評価されない(個人の問題)
・有能でやる気のある人が登用されないため、皆が損をする(社会の問題)

日時: 2010年07月16日 16:27 コメント (0)
■ 小論文実践演習③

《演習問題3・高度情報化社会》
インターネットの良い面と悪い面について、あなたの考えを述べなさい。(600字)

《テーマ解説》
 インターネット、衛星放送、携帯電話などのIT、すなわち情報技術(Information Technology)によって、現代社会は便利になりました。限られた人しか知らなかった情報を、一般の人も入手できるようになりましたし、地球の裏側の事情まで瞬時に得られます。
 しかし、問題も生じています。秘密の情報が外部に漏れやるくなることや、犯罪に巻き込まれやすくなることなどです。また、ITを使える人と使えない人との間に「情報格差」、すなわちデジタルデバイド(digital divide)が生じています。
 そこで、無批判にITを喜ばず、メディアから流れてくる情報を批判的に見る精神、習慣が必要になっています。

《キーワード》
・IT、情報技術(Information Technology)
 インターネット、衛星放送、携帯電話などを可能にする情報通信のための技術
・メディア・リテラシー
 批判精神を持ってメディアを駆使する力

《解答例》
 インターネットの良い面、そして悪い面とはなにか(論点)。私は、より多くの人の間で情報の格差が縮まったことが、良い面でもあり悪い面でもあると考える(論、以上序論)。
 なぜなら、インターネットの普及によってさまざまな人が自由に情報交換し、情報を分かち合えるようになったことで、私たちの社会は利益と損害の双方を被ったからだ。他の技術もそうだが、使う人の意図によって、インターネットは薬にも毒にもなる(論拠)。例えば、私はインターネットでよく調べものをするが、新聞やテレビの「海外のニュース」では取り上げられない国の情報を見て、驚くことがある。その国の情報がインターネットで紹介され、気軽にアクセスできるようになったからこそ、私のような日本の高校生でも知ることができたのだ。偏りのない世界観を持つのにインターネットは役立った。しかし、頼んでもいないのに、宣伝や勧誘のメールが届いて困ることもある。分かち合いたくない情報が流れるのも、インターネットの特徴なのだ(具体例、以上本論)。
 このように、インターネットによって情報の「壁」がなくなったことが、良い面にも悪い面にもなる(論の確認)。大学に進学した後も、ウェブを活用して活発な情報収集と情報発信をしたいが、情報の真偽を見極める批判精神も養って生きたい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 設問で問われているとおり、インターネットのよい面(功)と悪い面(罪)の双方について、論じました。なお、インターネットだけでなく、情報技術全般の「功罪」についてもまとめておきます。演繹法で使える常識です。
・功(良い面)
「情報収集、情報発信の機会の平等化」、「情報伝達におけるムダの解消(中抜き)」など
・罪(悪い面)
「過剰な情報の流通」、「プライバシーの侵害」、「情報機器を使える人と使えない人との間の情報格差の拡大(ディジタル・ディバイド)」など

日時: 2010年07月15日 16:26 コメント (0)
■ 小論文実践演習②

《演習問題2・環境問題》
 発電、輸送、工場の稼動などでたくさんの石油が使われています。その結果、大気中に排出されたガスが原因となって、地球温暖化や酸性雨などの環境問題が生じました。そこで、こうした問題に、生活者の立場からどう取り組めばよいか、あなたの考えを述べなさい(600字)。

《テーマ解説》
 もともと便利だと思っていた科学技術の使用で、地球の生態系、すなわち人間自身の住家を崩壊させる問題が発生してきました。地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、ダイオキシン、環境ホルモンなどの問題です。
 これに対して、有害物質を出すエネルギー(化石燃料など)を使いすぎないこと、リサイクルをすることなど、さまざまな対策が求められています。なお、対策は、消費者、企業、政府など、立場の違いに応じて、さまざまな形があります。

《キーワード》
・化石燃料
 化石のように長年かかってできる石炭や石油など
・地球温暖化
 熱をためこむ二酸化炭素などの増加が招く気温の上昇で、生態系の破壊や両極圏の氷の融解による海面上昇を招いている
・酸性雨
 化石燃料の燃焼から出る気体と空気中の水が反応し、強酸性の雨が降る
・オゾン層破壊
 フロンガスなどによって上空のオゾン層が破壊され、穴(オゾンホール)が開き、有害な紫外線の地球への侵入を許し、皮膚がんや白内障の原因に
・環境ホルモン
 生物体内のホルモンに似た分子構造の物質(外因性内分泌撹乱化学物質)で、体内に入りメス化など異常を起こす
・リサイクル関連法
 容器リサイクル法、家電リサイクル法などの環境問題対策

《解答例》
 生活者の立場から、環境問題にどのような取り組みができるか(論点)。私は、できるだけゴミを出さない努力が必要だと考える(論、以上序論)。
 なぜなら、大量のゴミは3つの点から考えて、自然環境にマイナスをもたらすからだ。第一に、ゴミは埋め立てたり焼却したりするが、ずれにしても環境を汚染する。第二に、今はゴミとなったものでも、もともとは自然の資源だ。急激に使い過ぎれば、再生する前に枯れてしまう。第三に、ゴミを運搬する車からも排気ガスが出る(論拠)。私の身の周りでも、たくさんのゴミが出る。例えば、紙だ。新聞、雑誌、本、プリント類だけでなく、牛乳などの容器としても使われている。使い終わった紙を燃やしてしまえば、二酸化炭素が出て、地球温暖化の原因となる。再生紙など、リサイクルも進んでいるが、再び使える紙に戻すときにもエネルギーを使う。ゴミ収集車が走り回り、再生工場で機械が稼動するときも、二酸化炭素などのガスは出るのだ。そして、紙は植物から作られるから、光合成をして二酸化炭素を吸収してくれる資源を減らすことにもなる。そもそも紙を使わない努力が必要なのだ(具体例、以上本論)。
 よって、環境問題の進展を防ぐには、ゴミを出さない生活が有効だ(論の確認)。大学では、「使い捨て」でなく「使い回し」が効くような商品を研究してみたい(方向性、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 環境問題への取り組みにも、さまざまな方策が考えられます。設問の意図によって、どんなレベルでの対策を求めているのか、読み取ったうえで答案をつくることが重要です。
 以下、さまざまなレベルでの取り組みについて、紹介します。
・生活者レベル
「大量消費、大量廃棄の反省」、「個人的な車使用などを減らして公共交通機関を利用」など
・政府レベル
「環境汚染物質に対する法制度での規制」、「環境保護活動の推進」など
・企業レベル
「環境汚染物質を排出しない製品づくり」、「環境保護活動の実践とアピール」など

日時: 2010年07月14日 16:25 コメント (0)
■ 小論文実践演習①

小論文の問題の実践演習です。
第1回のテーマは少子高齢化社会について。

《演習問題1・高齢社会》
 21世紀の日本社会では、平均寿命が延びから高齢者の人口が増えています。一方で、やがて労働者となり、社会で活躍すべき子どもの数は減っています。このような社会には、どんな問題が生じますか。そして、その問題にどう対処すればいいでしょうか。あなたの考えを述べなさい(600字)。

《テーマ解説》
 平均寿命が延びる一方で、生まれる子どもの数は減っています。そこでいろいろな問題が起こってきます。まず、寝たきりや痴呆など介護を要する人が増えているという問題あります。次に、人口の構成が変わったために、今までのように「たくさんの若い労働者が数少ない高齢者の老後の生活を面倒見る」という年金制度が成り立たなくなってきたという問題があります。
 こうした問題に対して、介護保険制度などが整ってきました。若いときから保険料を払っておいて、高齢者になって介護が必要になったら、有料の介護サービスを利用するときに補助金がもらえるという制度です。それ以外にも、自分の老後は自分で設計したりする必要が出てきました。

《キーワード》
・合計特殊出生率
 一人の女性が一生に産む子どもの数の平均値、20世紀末から徐々に低下
・平均寿命の延び
 第二次大戦後、日本の平均寿命は急速に延び、世界最高レベルに達した
・国民年金
 20歳から60歳までに払い込み、65歳から受け取る年金、全国民が対象
・厚生年金
 給与所得者を対象とし、個人と会社が半分ずつ負担する年金
・公的介護保険制度
 一定期間に保険料を支払うと、程度に応じて介護料金の補助が出る
・年金、保険料の増額
 少子・高齢化により、個人負担額が増加している

《解答例》
 高齢者が増え、子どもの数が減っていく少子高齢化社会においては、どんな問題が生じるか。また、その問題にどう対処していけばよいか(論点)。結論からいえば、高齢者介護が大きな問題であると、私は考える。そして、この問題に対処するには、個々人が高齢期に向けてさまざまな準備をすることが重要だと考える(論、以上序論)。
 なぜなら、現在、日本の高齢者介護は、介護保険料や税収によってまかなわれているからだ。労働者が減っていくと、個人の労働生産性が著しく高まらない限り、人口減とともに、財源は減る。逆に、介護の対象となる人は増えるので、日本の公的介護支援制度はこのままだと破綻してしまう。それゆえ、要介護の高齢者の増加を食い止める必要がある。それには、若いころからの準備が必要だ。一つには、要介護にならないため、つまり可能な限り自立を保つために、歳を重ねても健康を保つ準備が必要だ。そして、もう一つには、たとえ要介護になったとしても、公的支援に頼らず自費で望む介護を受けられるような経済的な蓄えも必要だ。(論拠)。実際、私の祖母は80歳を超えるが、日本舞踊の師匠として毎日生き生きと暮らしている。若いころからの鍛錬により、健康も保ち、収入も得ているのだ(具体例、以上本論)。
 以上のことから、少子高齢化社会に臨んで、高齢者介護が大きな問題となるため、個々人が要介護にならないための努力をする必要がある(論の確認、以上結論)。(約600字)

《解答のポイント》
 自分自身が体験したこと、自分の身近で観察したことなどの具体的な事実を証拠として盛り込むと説得力があります。同時に、オリジナリティのある答案にもなります。さまざまな小論文テーマに関する体験、観察を日ごろから整理しておくといいでしょう。

日時: 2010年07月13日 16:24 コメント (0)
■ AO・推薦入試で出題される小論文テーマ

大学フェア2010の講演では、
時間の都合で
小論文対策については
詳しくお話ができませんでした。
しかし、ブログでは、
自由に、時間を気にする必要もなく、
小論文対策を語れますので、
ここに、AO推薦入試で問われた
小論文の実践問題を題材として、
ULTRAの理論を用いた
回答プロセスを示していきます。

なお、以下のような小論文での
頻出テーマについてもコメントしていきますので
現代社会が抱える問題についても
理解を深めてください。

① 少子高齢化
② 環境問題
③ 高度情報化社会
④ 性差問題・ジェンダー論
⑤ 教育問題
⑥ グローバル化
⑦ 豊かさ・消費社会
⑧ 文化論
⑨ 国家論
⑩ 医療問題
⑪ 食糧問題

日時: 2010年07月09日 23:56 コメント (0)
■ 入試小論文ULTRA攻略法

大学フェア2010の講演会では、
時間の都合上
詳しくお話できない
「小論文対策」
について連載します。
AO入試・推薦入試で課される
小論文試験で合格答案を書くための
必要かつ十分な技術と知識を
ご紹介していきますので
期待してください。
まずは、
大学受験でも大学院受験や就職試験でも
「小論文対策の王道」として
広く認められるようになった
“小論文ULTRA攻略法”から解説します。

小論文試験の王道“ULTRA”とは?
 大学入試の小論文試験では、
「次の文章を読んで、
 高度情報化社会の問題点について、
 あなたの考えを述べてください」
といった形式で論述が求められます。
ここで大切なことは3つです。

第一に、
「高度情報化社会の問題点について」といった
設問の趣旨や読解を求められた課題文の内容を、
的確に「理解」することです。

第二に、
「あなたの考え(論)」をつくりあげることです。
考えは根拠(理)とともに説明しないと
説得力がありませんので、
「論理」をつくる力が、求められます。

第三に、
つくりあげた考えを、
読み手が理解しやすいように「整理」し、
標準的な日本語で書く、
すなわち「表現」する。

これらの工程をわかりやすくまとめたものが、
以下の“ULTRA”です。
もう十年以上も前にこうした解法を紹介してきましたが、
高校や塾・予備校の先生方、
小論文参考書の執筆者から、
「これは役立つので参考にさせて欲しい」
と言われ続けてきました。

①設問や資料(文章、図表など)を
 しっかり理解する(Understanding)。
②「あなたの考え」(論)の基となる
 根拠(理)を探る(Logic)。
③考えた過程を読みやすい順序へと
 整理する(Trimming)。
④表現や表記の規則を守って
 実際に原稿用紙に書く(Action)。

なお、Trimmingのところの順序とは、
志望理由書対策でも紹介した
「序論・本論・結論」のパターンです。
冒頭(序論)に自分の率直な考えを述べ、
真ん中でその根拠を詳しく説明し、
最後(結論)ではじめに述べた意見を
確認するのです。

この方式は、もはや世界標準といってもよく、
“Main Point First”(結論は初めに)
“Introduction(序論),
  Main Body(本論),
  Conclusion(結論)”
で構成する“Five Paragraph Essay”
(5段落エッセイ=欧米での意見文の雛形)
とみごとに呼応しています。
以下を参考にしてください。

・序論:
 課題文では、高度情報化社会の到来により
 ……危険性が訴えられていた(導入)
 そこで、私も高度情報化社会の問題点
 について考えてみたい(論点=論の焦点)
 私は、筆者が指摘する危険性の他に
 ……といった問題も生じると考える(論)
・本論:
 私がこう考えるのは……からである(論拠=論の根拠)
 例えば、実際に私も……(具体例1)
 また、……といった現象も一般化してきた(具体例2)
・結論:
 以上より、私は……といった
 高度情報化社会の問題点にも注目した(論の確認)
 情報という擬似現実に批判的でありたい(方向性)

日時: 2010年07月05日 12:04 コメント (0)
■ 志望理由書(具体例)

さて、今回は前回解説してきた考え方を用いて
実際に書いた「志望理由書」の合格答案例を
示します。
「この人にしか語れない」といったエピソードが
しっかり入っていますので、参考にしてください。
一つ一つの合格答案に
私、クロイワ正一のコメントもつけました。

1.文学・教育学部系

①W大学教育学部に合格したYMさんの例
中学・高校での暗記中心の歴史教育だけでは、「生きる知恵」は学べない。歴史と積極的に向き合い「記されなかった歴史」を探らない限り、人類の足跡が示す現代的意義を学ぶことはできない。私はそう考え、貴大学教育学部社会教育学科で、歴史を、そして歴史教育を学びたい。さらに、歴史を構成する多様な要因の理解に役立つ政治学や経済学も併せて学びたい。そして、将来は戦争と平和の意義について主体的に意見を持てる人々を育てるべく、中学や高校の社会科教師になりたい(序論)。
では、なぜわたしは、先ほど述べたような歴史観を持つようになったか。それは、長崎に修学旅行に赴いたときの被爆経験のある研究者との出会いから始まった。歴史教科書からは、原爆投下を雲の上から移した写真を見ることはできても、プルトニウム爆弾が破裂した下の地獄は伝えることができない。その後、文化祭に戦争経験者を呼ぶなど、様々な人から戦時体験を聞いたり、戦争映画を観たりして、その無残さを直観した。そして、知識の断片を無機的に詰め込む歴史教育への疑問が芽生えた。また、冷静に考えても歴史とは、連続する現実を記述者がその価値観、主観で切り取った「情報」に過ぎない。それゆえ、多様な情報源への取材が必要だ(本論)。
私はこうした志で、歴史と歴史教育について学びたい。そして、多様な視点を得るため、本学の留学制度を積極的に活用し、教官の指導も仰ぎ、海外の歴史資料なども収集してきたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
はっきりした将来展望、それを裏づける問題意識を育んだ経験。これらが具体的に明示してあるので説得力があります。なお、「批判的歴史観」などのキーワードは、大学のパンフレットに書いてあったものです。その趣旨に、YMさんは呼応したため、あえてここにも記しておき、この大学への興味深さをアピールしました。

2.経済学・経営学・商学系
②D大学商学部に合格したSDくんの例
 グローバル化社会のなかで、わたしは国境を超えたグローバルな活躍がしたい。金融の世界こそ、私のそうした望みを満たすフィールドだ。そして、将来、国際的な金融取引の場で活躍するために、そこで求められるさまざまな能力を身につけるために、D大学商学部を志望した(序論)。
 私は、父が銀行で国際為替の仕事に従事していることもあって、父との会話に出てくる多種多様な経済の話題に、自然と関心を覚えるようになった。「サブプライムローンってなんのこと?」「なぜ日本にも影響があるの」「投機マネーってなに?なぜ投機マネーがアフリカの飢餓と関係するの?」といった素朴な質問に父は丁寧に答えてくれ、私の知的好奇心を刺激してくれた。また、高校の世界史の授業で、産業革命、帝国主義体制下での経済的膨張政策や植民地拡大政策など、国際市場が形成された歴史を学び、経済こそ格差をつくりもし、その解消に役立ちもすることを知った。とくに、市場の国際化が貧富の差の拡大など、さまざまな問題も生んでいることには問題意識を持った。とくに途上国の通貨危機の問題など、金融市場の国際化は、今後も新たな問題を提起するはずだ。G8などの国際会議でも、投機マネーが食材やエネルギーに向くことを懸念する声も大きかった。それゆえ大学では、金融システムの分野から、それらのメカニズムについて研究し、格差の是正などを考えたい。
 また、グローバルなフィールドで活躍するには、英語力が不可欠だ。わたしは、中学から英語検定試験に挑戦し、現在では二級まで取得している。D大学でも、外国語教育に独自のカリキュラムを取り入れているため、大変魅力深い(本論)。
 こうした理由で、貴学商学部への進学を希望した。大学卒業後は、国を超えて金融取引のできる企業に就職し、同窓生の輪を世界に広げたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
DSくんも、将来展望が極めて具体的に描けています。学部で金融を学びたいという意思、卒業後は国境を越えた金融市場で活躍したいというキャリアビジョンがしっかり描かれていて、不動の学習意欲が窺われます。また、国際経済、とくにグローバル金融市場に興味を持つプロセスも、父上との会話を中心に具体的に展開されているので、全体的に説得力があります。

3.政治学・法学部系
③W大学政治経済学部およびW大学教育学部教養教育学科に合格したTHさんの例
 マスメディアの圧力による政・官への働き掛けが、社会を変える。わたしは、幼少期から続けている取材の現場で、そのことを実感した。そして将来は、報道記者として、アジェンダセッターとしてのメディアの機能を活かし、国民が政治に関心を持つような報道をしたい。そして、政治腐敗を根絶したい。そのため、貴学政治経済学部に進学し、現代世論と政治報道の関係について学びたい(序論)。
 こう考えるようになったきっかけは、読売新聞社のジュニア記者として、高名なジャーナリストである桜井良子さんにインタビュー取材をしたことだ。薬害エイズ訴訟の話を聞き、事件がジャーナリストによって報道されない限り、国民が行政の動きを熟知することは難しいと感じた。また、一被害者の力が、報道による世論の喚起によって、行政の動きに影響を与えることも知った。そして、事件の重大さに気づき、ジャーナリストによるアジェンダセッティングの重要性について、小学生であった私の記事に対しても、訴訟団体や読者から反響が届き、報道の力を肌で感じた。
 ただし、今後は、情報化の進展、社会の複雑化に伴い、報道にもさまざまな革新がもたらされるだろう。とくに、インターネットというメディアは、ニュース報道においても、重要な位置を占めると考えられる。そこで、インターネットによるアジェンダセッティングの可能性についても模索したい。大資本や政治的圧力の影響が相対的に少ないインターネットは、自由な議題設定に有効なのである。こうした過程を経て、国民への説明責任を欠いた政策には歯止めがかけられよう(本論)。
 以上の理由から、貴学政治経済学部での学びを志した。そして、マスメディアに関する新しい研究成果などを吸収するため、卒業後も学び舎や恩師の下を訪れたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
高校2年生からAO入試対策を講じていたTHさんは、本来「禁じ手」である「専願指定」の2学部、すなわち同じW大学の政治経済学部(AO入試)と教育学部(自己推薦入試)をともに受験し、合格してしまいます。ここに掲載したのは政治経済学部の志望理由書ですが、AO入試にかける気迫が感じられます。そして、さらに素晴らしいことは、彼女は昨年、卒業と同時に、大新聞社に就職したことでした。「すべてはAO入試指導から始まっていました」と彼女が言うとおり、AO推薦入試対策とは、そのまま大学卒業後の就職試験対策にもなるのです。

④W大学政治経済学部に合格したMSさんの例
21世紀は、国民国家の枠を超えた新しい世界秩序を探る必要がある。それゆえ、私は、貴学政治経済学部でグローバル・ガバナンス、国際政治の構成原理を研究したい。そして、大学院にも進学し、将来は国際公務員やNGOの職員として、グローバルな発言力、影響力を示せる人物になりたい(序論)。
こうした研究意欲を抱いた背景には、小学生のとき数年間オランダで生活した経験がある。私は、この体験で、幼いながら自らの世界観を拡張させることができた。つまり、この地球には多種多様な文化があり、それは国籍等で単純に分類できるようなものではない。しかし、同じ地球市民として共生するには、異質な他者への寛容の姿勢が必要である。私は、そうしたコスモポリタニズムに根ざした共生を実現することこそ、ライフワークにしようと決意した。
また、各種メディアの報道を見ればわかるが、現在、国家だけでは解決の不可能な地球規模の問題が噴出している。例えば、民族紛争、人口爆発、環境問題、南北・南南問題、民主主義の空洞化などだ。こうした現状を知ることからも、先の研究意欲が喚起される。国家、民族、宗教の枠を超え、地球共同体という一つの立場でこのような問題を解決する可能性を模索したいのだ(本論)。
そして大学卒業後は大学院に進み、国際機関やNGOの職員、または研究者など、グローバル・ガバナンスに最も貢献できる職に就きたい。また、在学中に一年間の協定校留学を希望しており、そのさいにも、将来の職業について具体的に探ってみたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
コスモポリタニズム、グローバル・ガバナンスは、大学のパンフレットの「求める人材」で連呼されていた言葉でした。そして、彼女の人生経験と重ね合わせることにより、「入りたい」「採りたい」という双方のニーズが合致したのです。

4.理学・工学部系
⑤A大学理工学部に合格したKAさんの例
 環境問題解決も、キリスト教精神に通じるところがある。私は、中学の理科の授業で環境問題について学習して以来、この問題を引き起こした科学、とくに化学の分野に興味を持ってきた。そして、化学をコントロールすることとキリスト教精神には通じるところがあると考え、貴学を志望した。大学進学後は、環境問題のなかでも、とくにオゾン層破壊について研究したい(序論)。
貴学建学の精神は、「キリスト教の信仰に基づく教育」だ。つまり、学力だけでなく「人間形成」、「博愛の精神」を養うことにも重点が置かれている。化学研究でも、こうした精神が欠けると、人への恩恵のみでなく、暴力をもたらしてしまう。それゆえ化学者を目指す私は、貴学の建学理念に通ずるものを感じた。
 オゾン層破壊に興味を抱いたのは、こうした化学の二面性を象徴的に物語る問題だからだ。原因物質のフロンは無毒、無臭で、構造も安定しているため、スプレーの噴射薬、冷蔵庫やエアコンの媒介などに広く利用されてきた(恩恵)。しかし有害な紫外線の侵入を防ぐ役割を果たすオゾン層で反応し、層を破壊しオゾンホールをつくってしまう。その結果、皮膚がん、白内障を誘発し、遺伝子の損傷、突然変異をも引き起こす有害紫外線の地表への侵入が、人類を脅かしている。実際、WHOの調査によれば、オゾンホールの拡大とともに皮膚がんの発症率が上がっている(暴力)。このように、科学は功罪両面を持ち合わせている(本論)。
こうした問題への対処として、大気中のフロン回収やフロン代替剤の発見を通じて、化学の理性を取り戻したい。そのために貴学理工学部応用化学科で化学物質への理解を深め、将来的には研究機関に勤めたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
キリスト教系列推薦入試に臨んだKAさんは、絶妙に「キリスト教精神と化学者の倫理」を結びつけました。これでA大学でなくてはならない理由と理工学部に進む理由の双方を説明したことになります。このように「学部へのこだわり」と「大学へのこだわり」の両方を書き表すことが合格への王道です。

⑥W大学理工学部に合格したRWくんの例
 グローバル化の進展に伴い、飛行機の発着便数はますます増えている。空の交通安全を守る必要性はますます高まっている。そこで、私は、航空管制官になり、NASAで仕事をしたいという夢を抱いている。それゆえ、その専門領域を学ぶために、最高、最適と考えられる貴学理工学部電機電子情報工学科を志望した(序論)。
 私がこうした夢を抱くようになったのは、幼少期から、たびたび飛行機に乗る機会に恵まれたからである。その都度、飛行機が飛ぶ仕組みを不思議に思い、その謎の解明に知的好奇心を抱いてきた。さらに、空の交通について学ぶうちに、飛行機に対して、地上から的確な指示を出し、世界の空の交通整備を任されている航空管制官の存在を知るようになった。冒頭にも述べたように、グローバル化により、ますます航空管制の役割は重要になってきた。高度専門職として航空管制官の需要は確実に高まっているのである(本論1)。
 実際に交通管制塔では、どのような仕事をしているのか、高校に入って取材したことがある。そのとき、航空管制官には、冷静な判断力と、精神的なタフさ、協調性が要求されると聞いた。私は、中学・高校と、陸上部に所属し、長距離走者として毎日の練習を重ね、さまざまな大会に参加してきた。また、後輩の指導にもこころを砕いてきた。こうして経験を経て、不屈の精神力、挑戦意欲、リーダーシップを養った。また、駅伝では、チームで一つの目標に向かって走る連帯感の必要性を実感し、協調性、責任感も身につけた。スポーツで身につけたこうした精神的素養は、航空管制官になっても生かせると考える(本論2)。
 以上のような経緯から、私は航空管制官になるというビジョンを描き、ゆくゆくはNASAで勤務し、空の平和を守りたい。その最適かつ最短のコースとして、貴学部で学びたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
「航空管制官になりたい」というRWくんの将来展望は明確です。まず、志望理由書では、こうした明確なビジョンを描くことが重要です。読む側をひきつけます。次に、ただ漠然とした憧れではなく、この仕事の需要や必要な能力などを客観的に分析しているところが優れています。将来のビジョンが確固と決まっていて、そのために必要な能力もしっかり理解している。すると「この生徒は大学に入っても目標に向かってしっかり学問を追及していくな」といった期待感を抱かせます。「読み手はどんな点に期待しているか」といったことも念頭において、志望理由書はまとめましょう。

5.医学・薬学・看護・医療衛生学部系
⑦K大学薬学部に合格したKOくんの例
 21世紀こそ、医療の中で薬学が新たな意義を持つ。私は、そう考え、薬学研究の新しい可能性を拓くべく、貴学薬学部を志望した。将来は、大学院にも進み、新薬開発に寄与する基礎研究に従事したい(序論)。
 では、なぜ私は、こうした将来展望を描くようになったのか。第一に、私には、幼少期から皮膚の病があったからだ。そして、薬剤師である母の懸命な努力で、その症状を克服した。母は、短期的な治療効果はあるが、副作用も強いステロイドには頼らず、漢方による長期的な体質改善を私に施した。その結果、ついに症状は消えた。こうした喜びを同じように病で悩む人も味わってほしい。その思いが薬学研究に対する意欲へとつながった。
第二に、そうした意欲を抱くとともに、わたしは、薬学研究者を目指すべく、化学や生物学の研究にも早くから取り組んだ。中学生のとき、地域の海岸の生物採取を続けていたところ、貝の突然変異体が見つかった。それを専門家に提示し、環境汚染物質が海洋生物に与える影響として、独自の調査結果が公式に認められたこともある。こうした問題意識とフィールドワークは、薬学研究にも活かせると考える。
 第三に、医学、薬学をめぐる時事問題にも関心を持ってきた。いま、医療に求められる要素として、患者自身のQOLの向上が指摘されるが、在宅で処方できる薬の開発こそ、QOL向上の助けになると考えた。病院、医院に通わずとも、自宅で有効な薬を服用するだけで病が治癒するのなら、在宅で日常生活を送りながらも治療を受けられるからだ(以上、本論)。
20世紀は、西洋医学の導入で、さまざまな感染症が克服され、平均寿命も延びた。ただ、QOLの面から見ると副作用など、いくつかの問題も残した。こうした問題を克服すべく、私が処方を受けたような東洋医学の視点、すなわち長期的な根治療法も研究される必要がある。21世紀は、その接点を探る全人医療の時代だ。わたしは薬学研究の立場から、その動きに貢献したい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
最高レベルのAO入試を突破した生徒の志望理由書のサンプルです。自分自身が抱えていた問題(皮膚病)から、社会が抱える問題(先端医療技術によるQOLの低下など)まで、総合的に薬学研究の課題を捉えているところが優れています。このように、知的好奇心、問題意識は、「自分(個人)→地域(血縁者、知人・友人など)→社会」といった全体像で捉えると説得力を示せます。

⑧K大学医療衛生学部に合格したTNくんの例
 私は、国際的に活躍できる理学療法士になりたい。その夢を実現するための環境が整っているから、K大学医療衛星学部を志望した(序論)。
 では、なぜ私は理学療法の道を目指したのか。それは、私が育ってきた環境の影響が大きい。私は、幼いころから医療現場で働く父の姿を見ていたため、医療に自然と関心を抱くようになった。そして、父の勤務先で理学療法士と出会い、その仕事に惹きつけられた。なぜか、それは、理学療法士がスポーツ感覚で行う医療行為に、スキー、テニスなどを趣味とする私は、自分との接点を見出したからだ。
また、この仕事には、確固とした需要がある。ますます進展する高齢化社会に向けて、寝たきりや認知症を防ぐ意味でも、機能維持、機能回復の医療が求められ、そこで必然的に理学療法士の必要性が増すのだ。さらに、高齢者の方々と触れ合うことは、私にとってもコミュニケーション能力等を伸ばし、人間として成長するよい機会となる。また、医療現場におけるグローバル化に伴い、海外との情報交換や、外国人患者との接触を通じて、国際感覚を磨く機会にもなる(本論)。
貴学には、そうしたコミュニケーション能力、国際感覚を養うカリキュラムもある。それゆえ、ここで学び、専門に限定せず、医学、心理学、英語など、主体的に自分を磨き、従来の理学療法士の枠に収まらぬような器を育てたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
TNくんにも「理学療法士を目指す」という確固たる将来展望があります。そして、その展望を描く過程が、自らの成長過程に合せて自然に説明されています。さらに、志望校であるK大学の「国際社会で活躍できる医療人を育てる」といったアドミッションポリシーをしっかり踏まえて志望理由を述べている点も合格につながった大きな要素です。

6.学際系(環境情報・総合政策学部系)
 今回からAO入試の中でも最難関であるK大学の環境情報学部、総合政策学部に合格した生徒の志望理由書を順に紹介します。とくに将来の夢に対する綿密な調査が裏づけとして提示してあるからこそ合格につながりました。自分の夢に対して、ここまで徹底的に調べてあれば「この生徒はもういち早く大学に入れて研究に取り組んでもらおう」と教官も自然と納得します。

⑨K大学環境情報学部に合格したYMくんの例

 環境問題を解決するには、環境問題に取り組まなければ不利益になる社会構造をつくればいいのではないか。私は、このような発想のもと、貴大学環境情報学部に入学し、望ましい環境経営の形を探るために、シミュレーションソフト「将来予測システム」を開発していきたい。(序論)。
 私は、高校2年のころから企業の環境対策に興味を持ち始め、各社の環境意識をアンケートで調査した。そこで、次のような実態に気づいた。つまり、複雑な計算や多額の投資ができないという理由から、多くの企業が環境経営を敬遠しがちなのだ。この現状は是正しなければならない。なぜなら地球環境が破壊され続けてしまえば、企業も、消費者やその他のステークホルダーも存続不能になってしまうからだ。ところが、破壊の現実は、緩やかに進行するため、そんな終末のイメージなど誰も描けない。そこで、私は考えた。地球環境の動向を逐一集計し、その未来像を出力できる「将来予測システム」を開発すれば、多くの人の問題意識を喚起できるのではないかと。これは、コンピュータによって創られた擬似社会の中で、ある環境経営が世論や環境にどのような影響を及ぼすのかをシミュレートするシステムである。私は、このシステムを開発することで、環境経営を資金や技術に余裕のない企業でも積極的に取り組んでいけるものにしていきたい。
このシステムの実現のためには、現在の私の情報収集能力に加え、貴学部での学びが必要だ。たとえば世論を把握するための人間行動論や社会動態論を、また、汚染物質の影響を知るための化学、地球環境論、ソフトづくりのためにプログラミング言語論や認知科学、人工知能論も積極的に学びたい。しかし、ある個人や研究グループが決められた制約内でこのシステムを開発することは難しい。そこで私は、このシステムのプログラム情報を積極的に外部へと公開していきたい。つまりLinuxのように、オープン・リソースな環境で開発するのだ。誰もがシステムを改良できるような体制を築けば、研究費の削減にもつながり、なおかつ常に世界の誰かがシステムを更新しているという連続的な進化が望めるからだ。また、企業の環境経営評価を行っている投資会社などと情報を共有すれば、信頼性の高いデータを利用することができる(本論)。
こうして、私は貴学部から情報発信し、同じ志を持つ世界の人々の英知をここに結集させたい。そして、環境経営シミュレーションの有用性を世に問うていきたい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
YMくんは、企業が環境問題に取り組めるさまざまなインフラづくりを考えていました。その具体的な方法がなかなか定まりませんでした。そこで、私がヒントとなるさまざまな資料を提示し、書類に書いたような「シミュレーションソフト」を思いつきました。通常の大学受験勉強では、到底知る機会を得られないような社会問題にも気づき、自らの問題意識を深め、志望意欲を高めていったのでした。このように、ハイレベルな志望理由書を仕上げるには、周囲の社会問題に精通した大人のアドバイスも必要です。

⑩K大学総合政策学部に合格したSNさんの例

 政治の担い手は、国民自身であるべきだ。私は政党による密室政治を打破するため、ITを手段として使った新しい政治形態について研究していきたい。そしてそのために、現代の実践的な政治論や政策過程論を学べるほか、eジャパン戦略に強い興味を示した貴大学総合政策学部で学習することを必須と考え、入学を強く志望する(序論)。
 密室政治を打破したいと思ったきっかけは自らの経験を通してだ。私は、高校時代、生徒と共に運営することをモットーとし、二年間生徒会長を務めた。その中で、頻繁にアンケートをとったり、自らの公約で設置した学校の公式ホームページ直接生徒と議論を交わしたりして、全体の意見を察するよう心がけた。その日々の活動が生徒と私たちの活動とを近付け、初めて試みたベルマーク活動は大きな協力を得た。その協力は近づいた距離の生んだ、自分たちの学校であるという生徒たち自身の当事者意識であろう。
そしてこのことは、現代政治にも言える。投票率の低さなどから日本の国民は政治に無関心だといわれるが、それは国民自身の無責任さから生じているのだろうか。現状は、「否」である。政権担当政党の派閥間による首相おろしや、衆議院を圧倒的多数の賛成で通過した法案など、今の政治は世論の反映されているとはお世辞にも言えない。国民が政治に関心がないというより、政治と国民意識が乖離してしまっているのだ。私は、民主主義の原点に立ち返り、国民による政治を実現させるため、新しい方向性を見出せる政治家になりたい。そのプロセスとして、在学中から私の考えに近い行政関係者のアドバイザリースタッフとなり、その経験と実績を活かして、国会議員になるのが目標だ。
 eデモクラシーは、導入期なので地方自治レベルでの実験、研究から入りたい。しかし、この私が提案する政治形態は、国政にも活かしていくべきであろう。全ての研究経験と実績を活かし、国会議員として、民意に沿った国民による政治を実現させるのが、私の最終的な目標だ。
 だが一方で、ITの使用はセキュリティやデジタルデバイドなどの問題をはらむ。しかし、前者の問題も、現在様々な電子認証基盤を利用して対抗策を実現しているし、後者も、操作の簡素化や公的設備の普及でカバーできるだろう。そうした対抗策を講ずるにも、貴学部の環境は最適だ。
 ただし実現には、徹底的な研究が必要だ。総合政策系クラスターのパブリックポリシーを選択し、中でも政策立案論には特に強い興味があるのでぜひとも学びたい。また、人々の政治参加論や、ネットワークガバナンスの中になってしまうが、メディアリテラシーやネットワークコミュニティについても私にとっては必須だ。今後ますます社会システムが高度になるにつれて、政治家は、広い分野において、より専門的な知見が要求されるだろう。より実践的で、多面的な視点を養える貴学部のスタイルや学習内容は、政治家を目指す私のニーズに完全に合致する(本論)。
 政党による密室政治打破の実現に向け、その道を模索していた。貴学部はその最短距離を示してくれたと言える。一刻も早くその一歩を踏み出したい(結論)。

※クロイワ正一のコメント
最難関のK大学・総合政策学部のAO入試を突破したSNさんも、志望理由書をまとめ上げる過程でさまざまな調査をしました。まず、eデモクラシーの最前線を図書館やインターネットを使って調べつくしました。資料検索の仕方でわからないことがあれば、適宜私がアドバイスしましたが、自分が研究したいことをより具体化するために、とにかく積極的に資料を探り続けました。また、eデモクラシーに関して、この学部で学べることも調べつくしました。大学側はその資料として詳しいパンフレットをつくっているのですから、それを素材としない手はありません。その結果、入学後、「過去の合格者も含めてAO入試合格者の中で一番のできだ」と賞賛されたそうです。最難関クラスのAO入試を突破するには、こうした「強い学ぶ意欲や問題意識に裏づけられた主体的な探究心」です。

日時: 2010年06月28日 17:59 コメント (0)
■ 志望理由書・自己推薦書対策①

AO推薦入試の合否を分けるポイントともいえるのが、
「志望理由書」「自己推薦書」などの事前提出書類です。
ここに
「大学入学後に学びたいこと」や
「大学で学んだことを社会でどう生かしたいか」
といった将来展望を語ります。
また、将来展望には、裏づけも必要です。
あなたがそんな未来像を描いたきっかけを
詳しく具体的に語るのです。

盛り込む内容についての細かな要求は、
大学側が出している募集要項を
よ~く読んでから決めるべきですが、
整理すると以下のような共通項目があります。

①志望理由書、自己推薦書に盛り込む要素
・大学卒業後の展望(遠未来)
・大学での学び(近未来)
・将来展望を抱いたきっかけ、問題意識、知的好奇心(過去・現在)
 【過 去】 ⇒ 【現 在】 ⇒ 【近未来】 ⇒ 【遠未来】

ちなみに、このチャートは
志望理由書指導のさまざまな参考書にも引用されている
画期的なものです。
高校や予備校の先生からも
「クロイワさんが書いているライオン社の
『志望理由書の模範的書き方』が一番わかりやすい」と評判です。
m(._.)m感謝感謝。

閑話休題!
では、
大学で学びたいこと、
大学卒業後に就きたい職業などは
どう探ればいいのでしょうか。
それには、大学が発行している
詳しい大学案内やホームページを
参考にするといいでしょう。

なお、このようにアドバイスをすると
よくこうした質問を受けます。
「大学のパンフレットに載っていることを
そのまま書いていいのですか?」と。
もちろん「いい」のです。
逆に、パンフレットに載っていない
講義やゼミをテーマにしても
「当大学では、残念ながらそうした研究はできません。
他を当ってください」と不合格になってしまいます。
大学案内をよ~く読んで、
そこから学びたいことを探る。
これが合格への第一歩です。

次に、大学卒業後のビジョンですが、
これも大学側が発している情報に
たくさんヒントがあります。
そこにはたくさんの卒業生の進路が
本人の顔写真やコメント入りで紹介されています。
この中に「こんな仕事がしてみたいなぁ~」
といった憧れの職業が見つかれば、
そうしたことを示せばいいでしょう。
人の職業人生、すなわちキャリアを研究する学問
(職業心理学といいます)では、
こうした憧れの像を「ロールモデル」と呼びます。
たくさんのロールモデルを見て、
それらをミックスしたり、
アレンジしたりしてもよいでしょう。
まとめます。

②大学での学び(近未来展望)の探り方
・調べる手段(オープンキャンパス、大学フェア、パンフレット、ホームページなど)
・調べる内容(一般教養科目、専門科目、ゼミナールなど)
③大学卒業後のキャリア(遠未来展望)の探り方
・調べる手段(オープンキャンパス、大学フェア、パンフレット、ホームページなど)
・調べる内容(業種、職種など)

こうしたことを探るためにも大学フェアの会場に来て
直接大学の方々に質問するのは有効ですね。
V(^_^)V


将来像が描けたら、
今度は「なぜ自分はそうした将来像を展望したのか」
といった理由を探りましょう。
それには、
大学で学びたい学問、
将来就きたい職業と関係のある
「あなたの過去の事件」を総括します。

細かなことでも、
未来の理想と関係あることは何でも想起しましょう。
そして、
自分の問題意識、
知的好奇心の方向を
未来へとセットするのです。

なお、過去の体験を総括しても、
あまりいいネタが見つからなかったら、
これから創ってもよいのです。
書類を提出する日まで、
大学での学びに関係がある
「実績」を積み重ねておけば、
書類を完成させる時点では、
「このようなことに取り組んできた」
と「過去の話」にすることができるのです。
まだ6月ですから十分に余裕がありませすね。
また、整理します。

④問題意識・知的好奇心(過去・現在素材)の探り方
・過去の棚おろし(将来展望を抱くようになったきっかけを探る)
・問題意識や知的好奇心の証拠となる既成事実づくり(情報収集、体験創出など)

さて、盛り込む内容が決まったら、
実際に下書きしてみましょう。
その際、書く順序、
つまり構成にも注意しましょう。
以下の「序論・本論・結論」の書き方が基本です。
ただし、大学学部によっては、
指定の書類に
「ここには大学で学びたいことを5行以内で書いてください」とか
「ココには大学を卒業した後に進みたい道について記述してください」
と言った指示がありますので、
そうした指示があったら、
それに従ってください。

⑤志望理由書、自己推薦書の構成
・序論:私は、貴学で……を学び(近未来)
    卒業後は……の仕事に就きたい(遠未来)
・本論:私がこうした展望を描いたのは……(現在の問題意識、知的好奇心)
    例えば、……(過去の経験)
・結論:以上より、貴学で……を学び(近未来の確認)、
    卒業後は……のフィールドで活躍したい(遠未来の確認)。

では、以上のことを参考にして
志望理由書にとりくんでみてください。
そろそろ各大学では
AO入試・推薦入試の願書が出始めていますから……

日時: 2010年06月23日 10:13 コメント (0)
■ 今年も大学フェアが始まりました!

クロイワ正一です。
5月23日(日)の新潟朱鷺メッセから
スタートした大学フェア2010にて
今年も
【AO・推薦入試の対策講座を】
担当することになりました。

このブログでも
対策講座を連載していきます。
ご期待ください。

なお、ブログを読んで
「質問したぁ~い」
「相談したぁ~い」
と思った人は、ぜひ会場に足を運んでください。
喜んでお待ちしていまぁ~す。

日時: 2010年06月18日 10:20 コメント (0)
 2010年08月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

大学フェア2010
ライオン占い
CAREER MATRIX
Copyright © 2007 Digaku Fair. All Rights Reserved.